PLAの塗装密着性評価

PLAは一般的に塗料との相性が良くないといわれています。
実際に塗装密着性について調べてみました。
前に作った耐熱剛性PLA(フィラー充填)がどうなのか、ふと気になりましたので、
一般のPLAと、耐熱剛性PLAで比較してみました。

 

PLA塗装品 碁盤目密着テープ剥離評価
試験方法 100マス碁盤目密着テープ剥離
造形条件 100% infill造形品最表面(t=1.0mm , 200℃造形)
塗料 アクリル系黒塗料(車キズ補修用)
フィラメント 一般PLA、耐熱剛性PLA(フィラー充填)
アニール アニールなし、100℃x20minアニール後
表面処理 いずれのサンプルも研磨、プライマー処理なし

 

フィラメント2種類、アニール2条件で比較を行いました。
碁盤目密着はサンプル表面に塗料を塗り、乾燥後に10x10マスをカッターで引き、
テープを貼ってから引きはがし、残ったマスの数で密着性を評価する方法です。

 


PLAに塗料を塗って、乾燥後にカッターで100マスの碁盤目を入れたところ
本来はカッターガイドできれいに引いたほうがいいのですが、
今回は簡易評価ということで割愛。

 


このような形で上からセロテープを貼って思いっきり高速ではがします。
はがれたマスの数を数えるシンプルな方法です。

 

碁盤目密着 結果

 

一般PLA アニールなし (13マス脱落:87/100)

やなり表面がツルツルしているせいか、前評判通り密着が若干悪いです。

 

一般PLA 100℃x20minアニール後 (全剥離:0/100)

碁盤目を引いたところと関係なく、テープを貼った全面が剥離しました。
アニール前より顕著に密着が悪化する結果になりました。
PLA結晶化によって低極性になったことが原因と思われます。
結晶性樹脂であるPP、PEも同様に密着が悪いことが知られています。

 

耐熱剛性PLA アニールなし (脱落なし:100/100)

完全に剥離なく残っており、非常に密着が良好です。

 

耐熱剛性PLA 100℃x20minアニール後 (脱落なし:100/100)


非常に密着が良好です。若干カッターを入れた部分に塗料の欠けが見られますが
実用的には問題ない範囲だと思われます。フィラーが密着悪化を緩和しているようです。